RUNだむ日記+plus!

還暦過ぎて腰も痛いので、よろよろ走ってます! RUNだむ日記【Returns!】もあります。

旅のラン 黒松内

ぼくの場合、仕事での旅つまり出張は、ここ数年ほぼ北海道内に限られる。全道まんべんなく、あちこちに出かけるわけだが、ぼくは一応「市民ランナー」のはしくれなので、時間と事情さえ許せば、その土地で走ることが多い。おおむね宿泊した翌日の早朝に走ることになる。

 

今回の出張は黒松内だった。札幌から列車で行くのはけっこう不便な町だ。車で行ったほうが便利なのだが、同行者が二人いてなんとなく列車でとなった。ただし長万部からは列車の接続が悪く、バスで乗りつぐことになる。このバスは行きも帰りも午前と午後の一日2本のみ。そのためやけに時間に余裕のある出張になった。

 

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水曜日の7時台の特急に乗り、目的地には10時過ぎに着いた。集中的に仕事をこなし、終了したのは5時ころ。宿泊は「歌才自然の家」だ。

夕飯は黒松内牛メンチカツ定食生ビール付。

 

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7時からは、ルヴァンカップ北海道コンサドーレ札幌VSセレッソ大阪戦があったので、売店で買った黒松内焼酎「橅(ぶな)しずく」のお湯割を飲みながらネット観戦した。しかし、すでに札幌ドームでは0-2で負けているので、勝ち進むためには3点以上とらねばならない。もちろん勝ってくれればうれしいが、正直なところ難しいと思っていたら、やはり負けてしまった。タイのメッシことチャナティップがまずまずの動きだったのは、今後のリーグ戦を考えると明るい材料かなと思う。

 

ふだんは10時ころに寝る習慣なのだが、珍しく11時過ぎまで起きていた。宿の人に明朝の玄関は開いているかを確認すると、逆に何時に外に出たいのか訊かれた。5時と答えると「じゃ5時前に開けておく」とのこと。これで朝ラン出発は5時に決定した。

 

まんいちに備えてスマホで起床のタイマーをセットしたが、翌朝目が覚めたのは4時過ぎだった。

天気は晴れ。すでに太陽は顔を出していて風もないが、気温は少し低め。絶好の朝ラン日和だ。たまに車が走行しているが、ほとんどが大型トラックである。昨夜のうちに目星をつけておいた蕨岱(わらびたい)駅、正確にいうと旧がつく廃駅を目指して走った。

 

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ちなみに駅は立ち入り禁止である。

 

黒松内は、ブナの北限の里と呼ばれる。ブナ林があり、ブナセンターもある。道道9号線から脇道に入ると「ブナの小道」という散歩道もある。森林浴ランだ。黒松内野球場の緑も鮮やかで眩しい。球場内を周回できるコースもあり、もう少し時間があればここを一周してから宿に戻りたかったが、そこまでの時間はなかったのが残念だ。

 

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子ども像も走ってる。

 

旅先でのランは、たいがい知らぬ道を走ることになるのでとても新鮮なのは言うまでもない。信号も少ないのでストレスがなくて気分がいい。

 

朝風呂(温泉ではない)、朝食のあとチェックアウトし、最後のひと仕事をすませると、バスの時間(2時35分)まで3人でやることがなくなった。そこで、早めの昼食をとり「黒松内温泉 ぶなの森」で時間をつぶすことにした。

 

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 帰りの特急ではお疲れさんのクラシック、となるのはトーゼンである。

曲がる、折りかえす、のぼるくだる。函館マラソン2017

まったく緊張感なくぐっすり寝てしまい、カミさんに起こされて6時に目が覚めた。ふだん、そんなことはほぼないので自分で驚いた。

そのせいで7時出発予定が8時すぎになってしまった。急ぎ旅ではないので別にかまわないんだけれど。例によって高速道路は使わず、中山峠経由で函館へ向かう。峠と洞爺の道の駅と落部のセブンなどで、休んだり腰をさすったりしながら、函館には1時くらいに着いた。

 

昼食は五稜郭近くにある和食の代志川。カニクリームコロッケ定食。なかは文字どおり、とろっとろでクリーミーなコロッケだ。黒蜜白玉も、甘いもの好きではない僕も美味しく食べられる絶品デザート。紅茶と中国茶スペシャルティーとの相性もよろしく、満足のごちそうさま!である。

 

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千代台競技場に参加賞をうけとりに行き、函館山の中腹にある墓地で義父母のお参り。いつもながら船の浮かぶ函館湾はキラキラと美しい。

 

今日の宿泊は、函館でとれなかったので、北斗市にある「秋田屋」。東前温泉しんわの湯に併設されているホテルだ。

函館出身のカミさんは、高校時代の友人が迎えにきて、部屋に落ち着くまもなく出かけて行った。数人が集まりミニ同窓会なのだ。

 

残された僕はゆっくりと温泉に浸かり、運転の疲れを癒した。11種類のお風呂と複数のサウナのある、しんわの湯はスーパー銭湯のように大きい。

夕食はおひとりさまだ。昼間の試合でコンサドーレ清水エスパルスに勝っていたし、サッポロ黒ラベル樽生のジョッキを注文し、明日の完走も祈って一人で乾杯した。

 

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部屋に戻って明日のウェアにゼッケンをつけた。僕には珍しくとても地味なグレーのウェアだ。ただし機能性はいい。ねずみみたいな色合いだけど。

あとはいい夢を見て寝るだけだ。

 

翌日は朝風呂のあと和朝食。ゆっくりとしている分けにはいかないので、速やかに宿を出発した。カミさんが松葉杖なので函館競馬場の駐車場は入り口に近い障害者スペースに停められた。競馬好きの友人と合流し、僕が走り終えるまでそこで過ごすというわけだ。

 

僕は市電で千代台競技場に移動。数人のラン友に会う。着替えは、昨夜のうちにゼッケンはつけておいたのでTシャツを着替えるだけ……のはずだったが、おニューのランウェアのハーフパンツはインナー付だったことに気づいた。宿でサポーターパンツを履いてきてしまったので、重ねると非常に具合がよろしくない。しかたがない、公共の場ではあるが時間もないことだし、ウィンドジャケットを腰に巻き、ベンチの近くでスースーしながらこそこそと着替えたのであった。

 

荷物預けを済ませ所定のスタート場所に並ぶ。まもなくハーフがスタートし、10分後にはフルもスタートした。

 

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持ちタイム順に並んでいるので、スタートラインを跨ぐまでに時間がかかる。2分以上かかった。函館フルのコースじたい、曲がり角・折り返し数が多く、のぼりくだりが激しいので記録は出しにくい。港町なので海風もあるし、加えて当日は蒸し暑さもあった。もちろん僕も記録なんか狙っていたわけではない。ただ春からはまあまあのトレーニングはできていたので、昨年よりは少しはいいタイムを出せるだろうとは考えていた。

 

1kmごとのラップを振り返ってみると、6分台を維持できたのは24kmまでだった。25kmあたりではヨタヨタ走っていた僕を見かねて隣のランナーがスポーツドリンクを飲みますか?と差し出してくれた。それは飲みかけのものだったので一瞬躊躇したが、好意を無下にするのもアレかなと思い、礼を言って一口飲んだ。彼は満足したように先に走っていった。僕より年上に見えたけど。

 

その後は7~8分台が続き、後半のアップダウンが始まると9分台も混じり始める。特にエイドは時間がかかる。食べたり飲んだり歩いたりなので時計がすすむ。さらに跨線橋、ともえ大橋とランナー泣かせの苦難のロードがつづくのである。じっさい、今年は歩かずに行こうと思っていたのにダメだった。やっぱり歩きが入ってしまった。橋を歩いているときは、来年はもうやめようと考えていた。少なくともこのコースは今の僕には辛すぎる。来年は走るにしてもハーフがいいかと考えながら歩いたりもしていた。

 

のぼりくだりが終わった最後の残り2kmはなんとか7分台に戻したが、ゴールは5時間をすこし超えてしまった。しかし、ま、スタートのロスタイムがあるから、ネットでは4時間59分だった。想定していたタイムよりもすこし遅かったが、ダメージも少なく無事にゴールできたのはよかったなと思う。

 

千代台競技場の前から競馬場までシャトルバスが出ていたのでそれに乗った。その前に出たバスにはたくさん乗客がいたようだが、僕が乗ったバスは4人しか乗っていなかった。

 

カミさんと友人とに合流して、パドックが見える特等席に座った。直前までそこに座っていた客が帰った席にはスポーツ新聞があり、ちょうどこれから走るメインレースの出馬表が開いていた。馬券を買うつもりは全くなかったのだが、それを見ているうちに一番人気のルメールの騎乗するサトノアレスはきそうだったし、アングライフェンの岩田も3着内率は高いのでワイド馬券を買ったら当たった。1分くらいしか検討してないんだけど。オッズが1.8だったので1,000円買って、1,800円になった。めでたい。

 

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2泊目は湯の川のホテル万惣。昨年建て替えたばかりなので老舗だけどキレイなホテルだ。ツインベッドに畳のスペースがあり、ベランダもついている。8月の港まつりのときならそこから花火も見えるはずだ。夕食バイキングは生寿司や刺身、カニ、天ぷらなどなど食べきれないほどの種類がある。クラシックの瓶ビールを頼んでしまったのでそんなにたくさんは食べれなかったのがちょっと残念。部屋に戻って、コンビニで買っておいたウィスキーでハイボールを飲もうと思っていたが、疲れと眠気で我慢できず、ほどなくベッドにはいり寝てしまった。

 

翌日は朝風呂に入ったあと朝食。昨夜に劣らず、海鮮丼や三平汁、海の幸バーベキューに加え、トマトデニッシュ、フレンチトースト、フルーツデザートなど節操なく食べた。

 

札幌に向け帰る途中、仕事がらみのリサーチで黒松内に寄った。札幌市内にはいり、びっくりドンキーで夕食を済ませる。帰宅したのは7時だった。荷物を片付けるともうぐったり。しかーし、明日からは仕事がびっしり忙しいので、なんとかかんとか今日のうちにブログをアップした。

 

ちかれた。

小樽運河ロードレース 2017、走ってきた!

日曜日、北海道らしい爽やかな初夏の小樽を走ってきた。小樽運河ロードレース。数年ぶりにエントリーしたハーフマラソンである。
 
春からはまずまずの距離を走ってきたので、調子が良ければそれなりのタイムになるのではと考えていたのだが、そーんなに甘くはなかった。
結果は2時間3分43秒(キロ5分51秒)だから、キロ6分は切れたものの、前回出場した4年前の1時間51分台にはおよばない。しかもハーフの自己ベストはこの小樽運河ロードレース2008年大会なんだけど、なんと1時間41分38秒だった。いま考えると僕にしては夢のような数字で驚きを隠せない。そんな時代もあったんだな(当時53歳だ)。
 
まあ、しかし。今回ハーフマラソンを走ったのは、2週後の7月2日函館マラソンに向けた調整なのだ。できるだけフィニッシュまで同じペースを心がけて走ってはいたので、ラストスパート的なものはしなかった(できなかった?)。にしても、函館でそれなりの走り(タイムというよりもある程度きちんと走れるかどうか)をするためには、もうちょっと速く、具体的には2時間を切りたかったなというところだが。
もはやハーフにしろフルにしろ自己ベストなど夢物語。僕にとっては走ること自体に意義があるのだから、無理・無茶は無駄なこと。そのうえでベストを尽くして楽しく走るのだ。
 
さて大会のことだ。
自宅を6時過ぎに出発、地下鉄・JRを乗りついで小樽に着いたのが7時40分ころ。もしかして、このJRで50分立ちっぱなしが良くなかったか。ここで脚を使ってしまったのが敗因だったかもしれない(どんだけヤワなのか!)。余裕を持って自宅を出ていれば座席確保はできたと思う。
 
走り始めて10数年経っているので、他のランナーよりは少ないものの出場した大会もそれなりに多くなり、大会の詳細も基本的に重要なところ以外は気にしなくなってきたため、パンフレットや案内もあまり読まない。とにかく受付をしてスタート地点にさえ立って走れば良いと、かなりいい加減である。ホントは良くないんだけど。
会場でも何か分からないことがあれば近くの係員に聞いた方が早い、と思考停止気味の困った年寄り予備軍である。反省したほうがいい。
小樽駅に着いてからも大会参加の方が大勢いるので、みんなの後をついていけばいいと何も考えずに歩いていたら、シャトルバス乗り場の列だった。徒歩で会場に向かうつもりだったが、ま、いいか。そのまま並んで3台目にきたバスに乗った。
 
会場に着いてまずは受付をして参加賞などを受けとる。簡単な着替えとゼッケンの取りつけをする場所を探しつつ、知ったラン友はいないかなと少しうろうろした。誰が参加しているのかはあまり把握してない。あとで知るところによると数人はいたようだ。
適当な場所を確保してゼッケンなどの準備を済ませ、ストレッチやウォーミングアップをしようかと思案していると、中央の方がなにやら騒がしい。近寄ってみると、応援団の演舞のようなものをやっていた。おそらく小樽商科大学だろう。北大との応援合戦を札幌で見たことがある。
いまどきは団長は女子だった。高下駄を履いて果たし状のような巻物をひろげて声高に応援してくれた。かっこいい。
もともとそんなに時間はないのに、そんなものを見物して写真などを撮ってその後トイレに並んでいると、あっという間にスタート時間が迫ってきた。ウォーミングアップどころかストレッチもろくにしていないが仕方ない。荷物を預けてスタート地点に並んだ。
 

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お約束のように、時間が来るといきなり号砲がなり大会は始まった。
レース中のことは、たいへんな出来事もなかったしさほど語ることはない。だが、21.1キロ応援が途切れないことにちょっと感動する。沿道の一般の方の応援はもちろんありがたいが、黄色いTシャツを着たボランティアの高校生の応援は力強かった。コース沿いに間隔をあけて立っている高校生はほぼ全員大きな声で応援してくれる。ぽつんぽつんと、ほぼ一人ずつ立っているのだが、僕がゼイゼイ走っていた(しかも遅い)ので、声をかけやすかったのだろう。とくに女子高生は生まれつきの母性本能があるだろうし、今にも倒れそうで可哀想なおっさんを放ってはおけないのかもしれない。黄色い声援(黄色のTシャツだし)でカラダを起こしてくれるのだ。
 
以前参加したときにはさほど感じなかったが、コースは狭いところが多い。細い歩道を走ったり、折り返しの速いランナーとすれ違う区間も狭い。接触しそうになるし、追い越しにくいところもある。一般道で車を通しながらコースを作っているのでやむを得ないのだが。
 
ペースはほぼ5分40~50秒くらいで走れてはいたが、給水所のある区間は6分を超えていた。もう少しうまく給水できればロスが少ないんだけどな。
個人的に軽快なレースとまでは言えなかったが、大会名にあるように運河沿いや水族館や港など小樽らしい眺めを楽しんで走ることはできたと思う。
気温は最高で23℃まで上がったようだ。風は穏やかだったし、そのぶん暑さも若干感じたが、マラソン日和といっていい爽やかな大会だった。
あっ。いま思い出した。完走後のキノコ汁食べ忘れた!
 

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応援してくれたラン友を駅まで送り、まずはグーグルマップで風呂屋をさがす。20分くらい歩けば神仏湯温泉という風呂があったのでそこへ向かうことにした。しかし着いてみると看板に家族風呂とあるではないか。家族風呂? 聞いてない、そんなこと! 
かといってまた別の風呂屋へ移動するのはかなりツラい。ダメもと、あるいは懇願してでも入れさせてもらおうと中に入ってみると、あっさり「いいですよ~」とのこと。ありがたく開店時間まで十数分、休憩所で待った。
 
番台(受付?)の女性に「ここは初めて?」と聞かれたので、頬を赤く染めながら「はい、ぼく初めてなんです…」とこたえた。フーゾクか?
入浴料は650円。一人で独占しても650円。家族4人で入っても大人は一人650円なのだ。しかも「ジャグジーいれるかい?」と聞かれたので、はいと応えたら浴槽がジャグジーになっていた。
時間がきて入室すると、ソファやマット、鏡、体重計などがある着替えスペースがあった。浴室に入りカラダを洗い、さっそく湯船へ。ジャグジー、いい。気持いい。カラダをのばして、足裏だのふくらはぎだの腿だの尻だの腰だのマッサージ三昧だ。湯温がぬるめなのでいつまでも入っていられる。至福だ。家族風呂を独占だ。大会後、こんなにゼータクな風呂にはいっているのは僕だけではないだろうか。
いちおう1時間が制限タイムである。オーバーしてもいいが、延長料金がかかる。うふ。
 
風呂を出たあとは昼飯だ。ぶらぶらと歩きながら、ジモティが入りそうな店をさがす。かなりうろうろと迷ったが「八珍亭」というラーメンメイン?の食堂にした。店は暗かった。テレビでは吹き替えの海外ドラマが映っていた。ここでも電気をつけてくれた店主にやさしく「ウチは初めてかい?」と聞かれる。やはり「はい…初めてなんです」とうつむきかげんにこたえた。なぜだ。フーゾクか? 
 
「ウチではこれが人気なんだよ」と示してくれたメニューには、ダールらーめんの写真が載っていた。僕は素直なのでそれを注文し、忘れずにビールもたのんだ。ふだんスーパードライなどは飲まないが、ラン後の乾いたノドにはきりりとシミてそれなりに旨い。
ダールらーめんは、小樽のタルとドロッとしたタールにかけて命名されたとか。つまり、あんかけラーメンのようなもので、すこし辛みがある。マスコミなどでも何度か紹介されているようだ。珍しいだけではなくけっこう美味いと思う。ほぼ完食して店をあとにした。
 
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つぎは酒を飲もうと、これもうろうろして入ったのは「食飲処・如月」。
「初めて?」とは聞かれなかったが、初めてなのはバレてる。日本酒を常温で注文し、冷奴や焼きサンマをたのんだ。店主は仕事だけをきっちりしてあとは静かに奥に座っていた。壁際にあるテレビでバラエティみたいな番組を見ながら酒を飲み、静かな店主に感謝して勘定をした。
 
帰りの電車は快速エアポートだった。
なにげなく座った一人席は、降りるときにふと見上げると「年寄りや身体の不自由な方の専用席」のステッカーが貼ってあった。うむ。気がつかなかった。自信を持って「年寄り」とはいえない、とりあえず健康で健全な今年63歳なんだが申し訳ない。

 

 

金沢マラソン2017エントリー!

ここ数年、毎年参加していた別海パイロットマラソンだが、今年は中学の同期会と重なってしまい、それを優先することにした。なんと48年ぶりに友人たちと会えるというのだから面白そうだ。やはり行ってみたい。というわけで10月1日開催の別海へは行けなくなってしまった。
 
その代わりにどこか別の大会をと見繕っているときに見つけたのが金沢マラソンだった。調べてみるとここも例に漏れず毎年抽選になるようだ。どうしても参加してみたいと思ったわけではないが、抽選に当たったら参加するかどうか決めることにして、とりあえず申込んでおいた。それが昨日連絡があり当選してしまった。欲がないとこういうものかもしれない。だが、いざ当たって公式サイトなどを見ているうちに、城下町だの兼六園だの美術館だのレース以外の楽しみもあるし、だんだんその気になってきた。金沢は行ったことがないし、せっかくだからやっぱり走るか? となったのだった。
 
 
まずはホテルだ。参加人数の多いフルの都市型大会はどこもホテルの確保がたいへんなのだ。インフォメーションによると、宿泊予約は公式サイトからのようだ。ほかの予約サイトからはとれなくなっている。一部とれるところもあるがめちゃくちゃ高額な旅館だったりする。
予約開始は今日正午からなので、不本意ながらホテル争奪戦に参戦することになった。あらかじめ準備をして始めたのだが、いまいち不慣れで戸惑っているうちに、どんどん部屋が埋まっていく。同じホテルで2泊のほうが楽だと思い、連泊できてできるだけ安くて便利なところを狙って申し込もうとしていたが、数秒差で先を越されたりしているもよう。けっきょく取ることができたのは市の中心部よりも少しはずれたホテルだった。が、贅沢は言ってられない。ぐずぐずしていると、なくなってしまいそうなのだ。
 
しかし夕方になって、ふとなんか変だなと気がついた。
そういえば選択できるホテルが表になって並んでいるのだが、多いところは3連泊できるように金・土・日とチェック欄があるのに、土曜しかチェックできないところもあった。それはどういうことなのか気になって調べてみると、どうも各ホテルの裁量で決めているようだった。つまり大会前日の土曜日だけは大会運営の主旨に沿って公式サイトからしか予約できないが、金曜や日曜は束縛されませんよということらしい。それを踏まえると、昼に慌てて公式サイトから土・日でおさえたホテルはベストな選択ではないことに気づいた。日曜にかんしてはもっと安くて便利で大浴場のあるところがあったのだ。とうぜん、そちらのホテルサイトで予約し直したのは言うまでもない。
 
あとは安い飛行機チケットをゲットせねば。
あ、それなりに愉しく走るためには、ちゃんと走りこまなければならぬのはもちろんである。
 
その前に、小樽、函館だけど。

至福の季節

ことしも至福の季節が訪れようとしている。

雪が溶け春になり、でもまた雪が降り積もり、それをいくつか繰り返し本当の春がやってくる。

僕ら雪国のランナーにとって、心から待ちわびた季節の幕開けだ。

まだ春風の強い日もあるが、気温は上がったり下がったりしながらも徐々に暖かくなってゆく。

冬のあいだ雪道ランのほか室内ランやエアロバイクなどで、少しでも走力・脚力の維持をはかりつつ数カ月を過ごすのだ。

 

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ランナーとしての僕は、これからの2カ月くらいが大好きだ。

できるだけ人の少ない道を、できるだけ走りやすい幅広の道を、できるだけ天気のよい日に、その後に大事な用のない時間にゆっくりと、でもそれなりの速さ(といっても遅い)で、空気や風や新芽や空を感じながら、だけどなにも考えずにできれば20km以上を走るのは至福のひとときである。

 

そのためには、体の痛みはないほうがいい。膝とか腰とか尻とか踵とか足裏とか、どこにも痛みがないことが一番だが、実際はどこかかしこに多少のダメージを抱えているのがランナーである。僕の場合はいまのところ腰が万全ではない。もちろん致命的な痛みを抱えているぶんには走らないのがいいに決まっているが、そこまでの痛みではない。

 

というわけで今週も今日21km走ってきた。

いつもとはちょっとだけコースを変えて、向丘通から羊丘通にはいり札幌ドーム裏を経て、ひたすら千歳方面へと走った。

三井アウトレットパークも越えてひたすら走る。大曲工業団地あたりは、倉庫や物流センターがけっこう多いんだと知った。羊丘通を挟んで向こう側は朝日、読売、北海道の各新聞社の建物(工場?)が固まっていたりする。

 

その先のちょうど10.5km地点で休憩し折り返した。来た道を戻るのでゴールすると21kmなのだ。

じつは往路はほぼ追い風だったので、復路はつまりほぼ向かい風だ。しかしランナー(つまり僕だけど)は、果敢に帰るのであった。その向かい風をも友とし、至福の時間をじっくりと味わい尽くしてゴールしたのである。

 

ところで今期の参加レースは、決まっているのが小樽運河ロードレースのハーフと函館マラソンのフル。夏は大人しく避暑し、秋にはまた今年も別海を…と思っていたのだが、残念ながらやめることにした。じつは中学時代の友人たちに会うことにしたのだ。なんと47年ぶりなのである。大半の人とは卒業以来会ってない。2年前の還暦時に第一回の同期会を実施していたのだが、僕に相談がなかった(?)ので不参加だった。その第二回がちょうど別海開催日に重なるのである。天秤にかけたら同期会のほうに傾いたというわけだ。半世紀ぶりに近い再会がいくつもあると思うと、ちょっと愉しみな秋の予定ではある。

秋のレースは、また別のなにかを考えてみよう。

 

ちなみに本日は今年初めて(!)の記事投稿であった。

 

来年もよろしく。

そろそろ何か書かなきゃな……と思いつつも、前回の投稿から多くの日々が飛んでいった。なんぼなんででも月イチはノルマでしょと自戒していた。何度かは書きかけたのだが途中で消したりもした。別に内容の濃いものを書こうとしているわけではないんだけど。

 

それでも今年はもう手仕舞いなのだから、(ランナー的には)何も成果のなかった年だけれども、なにかしら書き留めておこうと思う。けっきょく3か月近くぶりの投稿になる。

 

JOGNOTEによると、今日現在で今年の総走行距離はなんと892kmだった。衝撃的だ。かなり少ないだろうなとは思っていたが、いま調べてみて愕然とした。234101112月はほとんど走ってない。この6か月は合計でも130kmを超えるていどだ。例年自慢できるほど走行距離を誇っているわけではないが、走り始めて10数年こんなに少ないのはたぶん初めてなのである。

 

しかたない、と言えるところはある。春は家人が雪解けの横断歩道で転び複雑骨折し、そのショックで僕が走れなくなってしまったのだ。メンタル的なそれにくわえ、一人暮らしの家事や病院の行き来と用事、もちろん仕事もあるわけで、まったく余裕がなくなってしまった。10月からの3か月は、別海パイロットマラソン前の風邪がきっかけだ。もともとあった持病的な腰痛も加わり、しかもモチベーションがなくなってしまったのだ。

 

だが、そんな2016年は今日までなのだから、来年は気持ちを切り替えて、もう少したくさん走りたい。

正直なところ自己ベストの更新とかサブフォーとかは限りなく無理っぽい。記録のピークは、(たいしたことはないけれど)フル、ハーフともに2008年の記録がベストだから、この8年は進歩していない。劣化し続けているといっていい。まあこんなことをいくら書き綴っても仕方ない。

 

もともと、より速くとか、より遠くへとかを考えて走ってきたわけではない。出っ張ってきた腹をへこましたいとか、仕事のストレスを解消したいとか、もう少し健康でありたいといった動機で始めたランニングだ。2004年頃から走り始めて12年。記録的なものをめざさないのなら、99歳まで走るとすればあと37年(!)、記憶に残るような愉しいランを残していきたいと思う大晦日なのである。

 

といった矢先に、今日駐車場で転んでしまい、前頭部と右膝、両手指を打撲・擦過傷により怪我してしまった。少なくとも三が日あたりの走り初(ぞ)めは無理だね……。ズキズキ。

 

そんなわけで、今年はたいへんお世話になりました。

来年はもっとお世話になりたいnaviです。

(せめて月イチアップの投稿をめざそう)

 

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写真はへろへろの5時間超で完走した6月の函館マラソン。

2016 傷心の別海パイロットマラソン

前回「あと10日。別海パイロットマラソン」をアップしたので、大会の結果というかコトの顛末を忘れないうちに書こうと思う。

といっても、じつはできれば忘れてしまいたいんだけど。

 

年齢を重ねるにしたがい膝や腰や股関節などあちこち痛みの連鎖があり、なかなか「普通」に走ることさえ難しいのだが、今年の別海はすこしだけ「普通」に近い状態だ。もちろん50代の全盛期(?)にはほど遠いが、昨年や一昨年よりは走れるような気はする。別海ベストが出るとすごくうれしいけれど、そこまでいける自信はない。しかし楽しんで完走したいとは思う

 

などと希望的な記事を書けたのは、10日前だからである。

9月22日のランで雨の中10kmとすこしを走り、24日のランでも雨にぬれて以来ちょっと風邪気味になったのだが、気にすると風邪を呼び込んでしまうので大丈夫と暗示をかけていた。にもかかわらず、数日前から体調がアヤシクなってきた。

病院と薬はあまり好きではないので、暖かくして寝るとかビタミンCを積極的にとるとか、ニンニクやショウガを摂取するとかして土曜日を迎えたのだが治らなかった。

 

基本的に僕は運転が好きではない。しかし、誰かの車に便乗するとか、列車にするとか、都市間バスにするとか、飛行機にするとか考えたけれど、どうもいまひとつフィットしない。仕方がないので自分の車(ちなみにホンダのFIT)で往復することになった。

 

もうひとつ言うと、僕は高速道路があまり好きではない。急いでいるとかどうしても必要なとき以外は、だいたい下の道を行く。とうぜん今回もそうしようとしたが、先日の台風・大雨のせいで日勝峠が崩壊し通れなくなった。好むと好まざるにかかわらず利用することになった。

 

占冠インター~音更帯広ジャンクションの区間が無料になるというけれど、R274から占冠インターへの入り口がよく分からないので(僕はカーナビを使ってない)、分かりやすい夕張インターから入った。で、占冠で高速から下りてこの分の料金を払う。1回下りて、占冠道の駅でトイレタイム。そのまままた高速へ入る。そうすると音更帯広までは無料になるわけだ。音更帯広で下りると士幌・足寄を通って摩周まわりで別海方面へ行けばいいと思っていた。

 

しかし、ふだん高速に乗り馴れていない僕は、音更帯広=士幌とインプットされていた。しかも音更帯広ジャンクションと帯広ジャンクションの区別もついていなかった。いつまでも「士幌インター」がないなーと思っているうちに、なんかオカシクないかと「早めに」気づいてしまった。そこに「帯広ジャンクション」である。そうか、「士幌インター」ではなかったんだなと合点してしまう。

なにしろこのへんの道東高速道では、どこかに停車して確認することが容易ではない。とうぜんそこで下りてしまう。下りてから今度は何を勘違いしたか、間違って中札内方面へ向かってしまった。だが、さすがに途中で気づき方向転換し、池田経由でとりあえず足寄を目指した。

足寄道の駅での昼食は、前にも食べたカツミートスパゲティ。ボリュームもあって美味しい。僕の脳と鼻は潤んでいるが、天気だけはすこぶる良い。摩周道の駅では、偶然しばさんとミッチさんに会った。

 

けっきょく別海の受付を済ませ、中標津の宿「ビジネス旅館・白川」に到着したのは夕方5時だった。ただでさえ安い宿泊費(1泊2食4,800円)なのに、粗品のタオルと標津羊羹一竿をいただいた(さっき食べたけど美味かった)。夕飯はたぶん同じ経営の隣のお食事どころ「とらや」で1,200円分までのメニューから選べる。僕は和風おろしハンバーグ定食にした。ふつうに美味い。風邪ひいてるようだし(?)、明日はフルマラソンだし、せっかくなのでノーアルコールデーにする。部屋にもどり、明日の準備と今夜寝てる間に元気になりますようにとお祈りして布団に入ったのであった。

 

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6時過ぎに目が覚めた。優先順位としては後回しだったようで、僕の祈りは神さまに届かなかった。悪化しているようでさえある。しかし、大丈夫。走ってるうちに治せばよい。7時前にご飯を食べ、7時半過ぎに宿をでた。

 

30分ちょい程度で会場に着く。駐車場に車を停め、さてと思ったときに電話が鳴った。番号を見るとしらない番号だ。しかし、電撃的にはっと思い出した。コンセントにスマホの充電器をつけたまま部屋を出てきたことを。電話に出ると宿の方だった。「今、部屋の掃除をしていたら忘れ物がありました」。瞬間的にいろいろ考えた。走り終わってからとりに戻るか、宿から着払いで自宅に送ってもらうか、いやいや時間はまだかろうじてあるから今すぐ引き返すか。しかし走り終わってからでは、この日泊まるホテルの到着が予定よりも大幅に遅れることになるし、着払いで送ってもらうにも大変な面倒をかけてしまう。あの老夫婦にそんなことは頼めない。けっきょく、いちばんあとの案にした。

 

駐車場を出ようとすると、ここは入口なので向こうから出てくれと言われる。大急ぎで戻ろうとするも、ぞくぞくと会場入りする車が多く、宿に向かう道もこういうときに限って遅い車がある。イライラしながらもやっと戻り忘れ物を受け取る。ついでにトイレを借り(会場のトイレはきっと混んでいる)、礼を言ってから大急ぎでもと来た道を引き返した。

 

駐車場に戻ると、さっき停めたところよりもずっとずっと遠いところに駐車するはめになった。仕方がないが。

ウェアは風邪のことも考えて、昨夜のうちに長袖プラス半袖(こっちにゼッケン)のつもりでいたのだが、気温が高くなりそうなので長袖を脱ぎ半袖のみにした。会場のスタート地点まで歩くのだが、すでに20分前だ。まあ20分もあるといえばあるのだが。

 

列の中に入ると茄子の皮が剥けたなすびさんと赤黒のくろいぬさんを見つけた。だが、スタートまでの時間が長い。なかなかスタートしない。これならもっとゆっくり行動しても良かったじゃないか。と言っているうちに、お約束のようにいきなりマラソンはスタートした。

 

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……そんなワケで僕の別海パイロットマラソンは終わった。

 

 

ま、さほど記録せねばならぬほどの中味がないということである。

まずまず走れたのは10数kmまで。その後はずるずる。折り返しまでの長いこと長いこと。ようやく半分を過ぎてからは坂を転げるようにペースが落ち、やがて歩きも交えながら騙しだまし走ったものの、30km関門までが限界だった。

 

別海マラソンにも収容バスがあるとは認識していなかったが、しばらく待っているとバスに乗れた。バスの車内は暖かかった。車窓から別海の景色やボランティアの方々、応援の住民のみなさんの顔を見ていると悲しくなった。ごめん、完走できなくて。ちょっと風邪気味だったんで。僕の脳内には、かつて初北海道マラソン(もちろん途中関門で収容された)の打ち上げで歌った「バスストップ」が流れていた。♪バスを待つ間に涙を拭くわー。バスはじつにゆっくりと会場に戻るのだった。

 

バスを降りると寒かった。フィニッシュ地点に行っても誰もいないだろうし、完走してないから鮭ももらえないし、とうぜん完走大判バスタオルもいただけない。寒いのに。風邪をさらに悪化させたくはない(すでに手遅れだが)ので、参加賞の乳製品をうけとり、まっすぐ車に戻った。といってもすごく遠いけど。

 

この日は士幌温泉泊まりだった。夕食の時間が7時半までだったので急いで向かわねばならない。ところが、ここでもまた僕は道を間違えたのだった。ぼーっとしてたワケではないつもりだったが、気がつくと釧路に向かっていた。え?と思ったが後の祭り。遠くはなるが、やむを得ず釧路・標茶方面まわりで士幌に向かった。

 

だが、苦難はさらに続く。ガソリンだ。ものすごく減っている。なにしろ、予定よりもいろいろと回り道をしたり、余計な往復をしたうえ、また遠回りしているのだ。愛車はフィットだし、札幌を出発前に満タンにしたので、あわよくば往復できるかなと考えていたのだが。ガソリンスタンドはまったく見当たらない。だが時間もないし無料区間道東道に入ることにした。しかし高速道路は高速で走らねばならない。でも高速で走るとガソリンが減る。後ろはあまり見ないことにした。制限速度の70キロで走行することにする。むろん基本は一本道なので、追越し区間以外、後続車は僕を追い越せない。背に腹はかえられない。緊急事態なのだ。後ろは見ないことにしていたが、どうしてもサイドミラーにヘッドライトが映る。リアウィンドウに「緊急事態!燃料僅少!」と電光掲示して走りたい。

 

燃料メーターはみるみる減っていく。なんとか士幌…じゃなかった音更帯広ジャンクションにたどり着いたのは、メーターの目盛が、残り「2」を刻んでからすでにかなりの距離を走ったあとだった。高速を下りてから温泉までの距離はよく分からないけど、そろそろと走るしかない。そんな僕の気持ちも知らずに、目盛はとうとう「1」になった。ホテルはまだ遠い。と、突然キタキツネが道をよこぎった。急ブレーキを踏んだ。危ないじゃないか、ガソリンも無駄に減るし。

 

ホテルの看板が見えたときには助かったと思った。だが7時が過ぎていた。あとはホテルの方に事情を話して、明朝にでもすぐ近くにガソリンスタンドがないか、なければホテルの車のガソリンを分けてもらえないか頼むしかない。

 

が、ガソリンも減ったがとりあえず腹も減った。夕食は7時半には着席してくれと言われていたが、その前にさっとでも風呂に入りたい。なにしろ走った後の汗を流していないのだ。夕食はお高めのメニューにしていたので、すこしでもゆっくりと食べたかったから、なんとかもうちょっと遅めにとお願いをして7時40分で手を打った。それでも特急で風呂に入らねばならないのは同じである。風呂場にいたのはたぶん10分以内だ。

 

ちょっとお高め、のメニューは鍋料理が士幌牛のすき焼きになる。よくわからないが、スパークリングワインと記念写真をプレゼントしてくれる。ネットで予約した際、ほかにも特典があり、ホテル内で使える商品券1,000円分もいただいた。これを使って別にビールもつけた。しかし遅く食べる客は僕一人でなんだか申し訳ない。あまりゆっくりはできずに食事を終え、部屋に戻るとアルコールのせいもありもうへとへとだった。もう一度風呂に行く元気もなく、そもそも風邪をひいてしまっているのだから、テレビも見ずにそうそうに布団に入ってしまった。

 

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翌朝までそれなりに寝たが、風邪が治ったワケはない。とりあえずモトをとらねばと朝風呂に向かい、昨夜よりはゆっくりと入った。温泉効果で速攻治るといいのだけど。

駐車場に停めた車の中のものを取りに行ったとき、エントランスを掃除していたおじさんにガソリンスタンドの場所を尋ねてみた。昨夜スマホで調べたときには、すぐ近くに農協かなにかのスタンドのようなものがあったのだが、道路に出てちょっと見た限りでは見当たらなかったのだ。だがそれは今はやってないというではないか。一番近いのは12kmくらい先のところで、セルフならさらにあと2kmいけばあると言う。いやいやもうセルフなんて望みませぬ。12km。かなりきびしい。しかしイケないこともないかもしれない。とにかく目盛は「1」あるのだ。

 

朝食バイキングをすませ、部屋ですこしゆっくりしたあと、ガソリンスタンドのない砂漠に出るような気持ちでホテルを出発した。と間もなく、目盛がとうとう無くなってしまった。ゼロである。表示なし。もう、超、そろそろである。時速40~50キロ。だが車が後ろに付く。しかたないので減速し左に寄って追い越させる。しかし、ほどなくまた車が迫ってくる。追い越させる。また来る。でも、これっていちおう減速して加速するのだから燃料使うよね、いいのかこれで? などとしばし葛藤しつつも静かに静かに進んだのだ。

 

出光ガソリンのマークが見えたときは心の底からほっとした。12kmと言っていたが、じっさいは10km程度だった。出光のおじさんは鼻歌まじりに軽快に燃料を入れてくれた。その後、元気になったフィットで占冠まで高速を使い、274号線で一路札幌へと向かったのである。

 

帰宅後、家人にこの3日間のみやげ話をすると、一人でも珍道中なんだねと笑われる始末なのであった。

 

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おしまい。