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還暦過ぎて腰も痛いので、よろよろ走ってます! RUNだむ日記【Returns!】もあります。

2016 傷心の別海パイロットマラソン

前回「あと10日。別海パイロットマラソン」をアップしたので、大会の結果というかコトの顛末を忘れないうちに書こうと思う。

といっても、じつはできれば忘れてしまいたいんだけど。

 

年齢を重ねるにしたがい膝や腰や股関節などあちこち痛みの連鎖があり、なかなか「普通」に走ることさえ難しいのだが、今年の別海はすこしだけ「普通」に近い状態だ。もちろん50代の全盛期(?)にはほど遠いが、昨年や一昨年よりは走れるような気はする。別海ベストが出るとすごくうれしいけれど、そこまでいける自信はない。しかし楽しんで完走したいとは思う

 

などと希望的な記事を書けたのは、10日前だからである。

9月22日のランで雨の中10kmとすこしを走り、24日のランでも雨にぬれて以来ちょっと風邪気味になったのだが、気にすると風邪を呼び込んでしまうので大丈夫と暗示をかけていた。にもかかわらず、数日前から体調がアヤシクなってきた。

病院と薬はあまり好きではないので、暖かくして寝るとかビタミンCを積極的にとるとか、ニンニクやショウガを摂取するとかして土曜日を迎えたのだが治らなかった。

 

基本的に僕は運転が好きではない。しかし、誰かの車に便乗するとか、列車にするとか、都市間バスにするとか、飛行機にするとか考えたけれど、どうもいまひとつフィットしない。仕方がないので自分の車(ちなみにホンダのFIT)で往復することになった。

 

もうひとつ言うと、僕は高速道路があまり好きではない。急いでいるとかどうしても必要なとき以外は、だいたい下の道を行く。とうぜん今回もそうしようとしたが、先日の台風・大雨のせいで日勝峠が崩壊し通れなくなった。好むと好まざるにかかわらず利用することになった。

 

占冠インター~音更帯広ジャンクションの区間が無料になるというけれど、R274から占冠インターへの入り口がよく分からないので(僕はカーナビを使ってない)、分かりやすい夕張インターから入った。で、占冠で高速から下りてこの分の料金を払う。1回下りて、占冠道の駅でトイレタイム。そのまままた高速へ入る。そうすると音更帯広までは無料になるわけだ。音更帯広で下りると士幌・足寄を通って摩周まわりで別海方面へ行けばいいと思っていた。

 

しかし、ふだん高速に乗り馴れていない僕は、音更帯広=士幌とインプットされていた。しかも音更帯広ジャンクションと帯広ジャンクションの区別もついていなかった。いつまでも「士幌インター」がないなーと思っているうちに、なんかオカシクないかと「早めに」気づいてしまった。そこに「帯広ジャンクション」である。そうか、「士幌インター」ではなかったんだなと合点してしまう。

なにしろこのへんの道東高速道では、どこかに停車して確認することが容易ではない。とうぜんそこで下りてしまう。下りてから今度は何を勘違いしたか、間違って中札内方面へ向かってしまった。だが、さすがに途中で気づき方向転換し、池田経由でとりあえず足寄を目指した。

足寄道の駅での昼食は、前にも食べたカツミートスパゲティ。ボリュームもあって美味しい。僕の脳と鼻は潤んでいるが、天気だけはすこぶる良い。摩周道の駅では、偶然しばさんとミッチさんに会った。

 

けっきょく別海の受付を済ませ、中標津の宿「ビジネス旅館・白川」に到着したのは夕方5時だった。ただでさえ安い宿泊費(1泊2食4,800円)なのに、粗品のタオルと標津羊羹一竿をいただいた(さっき食べたけど美味かった)。夕飯はたぶん同じ経営の隣のお食事どころ「とらや」で1,200円分までのメニューから選べる。僕は和風おろしハンバーグ定食にした。ふつうに美味い。風邪ひいてるようだし(?)、明日はフルマラソンだし、せっかくなのでノーアルコールデーにする。部屋にもどり、明日の準備と今夜寝てる間に元気になりますようにとお祈りして布団に入ったのであった。

 

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6時過ぎに目が覚めた。優先順位としては後回しだったようで、僕の祈りは神さまに届かなかった。悪化しているようでさえある。しかし、大丈夫。走ってるうちに治せばよい。7時前にご飯を食べ、7時半過ぎに宿をでた。

 

30分ちょい程度で会場に着く。駐車場に車を停め、さてと思ったときに電話が鳴った。番号を見るとしらない番号だ。しかし、電撃的にはっと思い出した。コンセントにスマホの充電器をつけたまま部屋を出てきたことを。電話に出ると宿の方だった。「今、部屋の掃除をしていたら忘れ物がありました」。瞬間的にいろいろ考えた。走り終わってからとりに戻るか、宿から着払いで自宅に送ってもらうか、いやいや時間はまだかろうじてあるから今すぐ引き返すか。しかし走り終わってからでは、この日泊まるホテルの到着が予定よりも大幅に遅れることになるし、着払いで送ってもらうにも大変な面倒をかけてしまう。あの老夫婦にそんなことは頼めない。けっきょく、いちばんあとの案にした。

 

駐車場を出ようとすると、ここは入口なので向こうから出てくれと言われる。大急ぎで戻ろうとするも、ぞくぞくと会場入りする車が多く、宿に向かう道もこういうときに限って遅い車がある。イライラしながらもやっと戻り忘れ物を受け取る。ついでにトイレを借り(会場のトイレはきっと混んでいる)、礼を言ってから大急ぎでもと来た道を引き返した。

 

駐車場に戻ると、さっき停めたところよりもずっとずっと遠いところに駐車するはめになった。仕方がないが。

ウェアは風邪のことも考えて、昨夜のうちに長袖プラス半袖(こっちにゼッケン)のつもりでいたのだが、気温が高くなりそうなので長袖を脱ぎ半袖のみにした。会場のスタート地点まで歩くのだが、すでに20分前だ。まあ20分もあるといえばあるのだが。

 

列の中に入ると茄子の皮が剥けたなすびさんと赤黒のくろいぬさんを見つけた。だが、スタートまでの時間が長い。なかなかスタートしない。これならもっとゆっくり行動しても良かったじゃないか。と言っているうちに、お約束のようにいきなりマラソンはスタートした。

 

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……そんなワケで僕の別海パイロットマラソンは終わった。

 

 

ま、さほど記録せねばならぬほどの中味がないということである。

まずまず走れたのは10数kmまで。その後はずるずる。折り返しまでの長いこと長いこと。ようやく半分を過ぎてからは坂を転げるようにペースが落ち、やがて歩きも交えながら騙しだまし走ったものの、30km関門までが限界だった。

 

別海マラソンにも収容バスがあるとは認識していなかったが、しばらく待っているとバスに乗れた。バスの車内は暖かかった。車窓から別海の景色やボランティアの方々、応援の住民のみなさんの顔を見ていると悲しくなった。ごめん、完走できなくて。ちょっと風邪気味だったんで。僕の脳内には、かつて初北海道マラソン(もちろん途中関門で収容された)の打ち上げで歌った「バスストップ」が流れていた。♪バスを待つ間に涙を拭くわー。バスはじつにゆっくりと会場に戻るのだった。

 

バスを降りると寒かった。フィニッシュ地点に行っても誰もいないだろうし、完走してないから鮭ももらえないし、とうぜん完走大判バスタオルもいただけない。寒いのに。風邪をさらに悪化させたくはない(すでに手遅れだが)ので、参加賞の乳製品をうけとり、まっすぐ車に戻った。といってもすごく遠いけど。

 

この日は士幌温泉泊まりだった。夕食の時間が7時半までだったので急いで向かわねばならない。ところが、ここでもまた僕は道を間違えたのだった。ぼーっとしてたワケではないつもりだったが、気がつくと釧路に向かっていた。え?と思ったが後の祭り。遠くはなるが、やむを得ず釧路・標茶方面まわりで士幌に向かった。

 

だが、苦難はさらに続く。ガソリンだ。ものすごく減っている。なにしろ、予定よりもいろいろと回り道をしたり、余計な往復をしたうえ、また遠回りしているのだ。愛車はフィットだし、札幌を出発前に満タンにしたので、あわよくば往復できるかなと考えていたのだが。ガソリンスタンドはまったく見当たらない。だが時間もないし無料区間道東道に入ることにした。しかし高速道路は高速で走らねばならない。でも高速で走るとガソリンが減る。後ろはあまり見ないことにした。制限速度の70キロで走行することにする。むろん基本は一本道なので、追越し区間以外、後続車は僕を追い越せない。背に腹はかえられない。緊急事態なのだ。後ろは見ないことにしていたが、どうしてもサイドミラーにヘッドライトが映る。リアウィンドウに「緊急事態!燃料僅少!」と電光掲示して走りたい。

 

燃料メーターはみるみる減っていく。なんとか士幌…じゃなかった音更帯広ジャンクションにたどり着いたのは、メーターの目盛が、残り「2」を刻んでからすでにかなりの距離を走ったあとだった。高速を下りてから温泉までの距離はよく分からないけど、そろそろと走るしかない。そんな僕の気持ちも知らずに、目盛はとうとう「1」になった。ホテルはまだ遠い。と、突然キタキツネが道をよこぎった。急ブレーキを踏んだ。危ないじゃないか、ガソリンも無駄に減るし。

 

ホテルの看板が見えたときには助かったと思った。だが7時が過ぎていた。あとはホテルの方に事情を話して、明朝にでもすぐ近くにガソリンスタンドがないか、なければホテルの車のガソリンを分けてもらえないか頼むしかない。

 

が、ガソリンも減ったがとりあえず腹も減った。夕食は7時半には着席してくれと言われていたが、その前にさっとでも風呂に入りたい。なにしろ走った後の汗を流していないのだ。夕食はお高めのメニューにしていたので、すこしでもゆっくりと食べたかったから、なんとかもうちょっと遅めにとお願いをして7時40分で手を打った。それでも特急で風呂に入らねばならないのは同じである。風呂場にいたのはたぶん10分以内だ。

 

ちょっとお高め、のメニューは鍋料理が士幌牛のすき焼きになる。よくわからないが、スパークリングワインと記念写真をプレゼントしてくれる。ネットで予約した際、ほかにも特典があり、ホテル内で使える商品券1,000円分もいただいた。これを使って別にビールもつけた。しかし遅く食べる客は僕一人でなんだか申し訳ない。あまりゆっくりはできずに食事を終え、部屋に戻るとアルコールのせいもありもうへとへとだった。もう一度風呂に行く元気もなく、そもそも風邪をひいてしまっているのだから、テレビも見ずにそうそうに布団に入ってしまった。

 

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翌朝までそれなりに寝たが、風邪が治ったワケはない。とりあえずモトをとらねばと朝風呂に向かい、昨夜よりはゆっくりと入った。温泉効果で速攻治るといいのだけど。

駐車場に停めた車の中のものを取りに行ったとき、エントランスを掃除していたおじさんにガソリンスタンドの場所を尋ねてみた。昨夜スマホで調べたときには、すぐ近くに農協かなにかのスタンドのようなものがあったのだが、道路に出てちょっと見た限りでは見当たらなかったのだ。だがそれは今はやってないというではないか。一番近いのは12kmくらい先のところで、セルフならさらにあと2kmいけばあると言う。いやいやもうセルフなんて望みませぬ。12km。かなりきびしい。しかしイケないこともないかもしれない。とにかく目盛は「1」あるのだ。

 

朝食バイキングをすませ、部屋ですこしゆっくりしたあと、ガソリンスタンドのない砂漠に出るような気持ちでホテルを出発した。と間もなく、目盛がとうとう無くなってしまった。ゼロである。表示なし。もう、超、そろそろである。時速40~50キロ。だが車が後ろに付く。しかたないので減速し左に寄って追い越させる。しかし、ほどなくまた車が迫ってくる。追い越させる。また来る。でも、これっていちおう減速して加速するのだから燃料使うよね、いいのかこれで? などとしばし葛藤しつつも静かに静かに進んだのだ。

 

出光ガソリンのマークが見えたときは心の底からほっとした。12kmと言っていたが、じっさいは10km程度だった。出光のおじさんは鼻歌まじりに軽快に燃料を入れてくれた。その後、元気になったフィットで占冠まで高速を使い、274号線で一路札幌へと向かったのである。

 

帰宅後、家人にこの3日間のみやげ話をすると、一人でも珍道中なんだねと笑われる始末なのであった。

 

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おしまい。